繭中のあなたへ 桃雲

文化祭シーズンの忙しさで張りつめる会長と、支えたいと願う後輩彼氏――という構図がまず青春感満点。小糸会長が疲労でダウンし、珍しく弱音を吐く場面は、それまで完璧に見えていた彼女の人間味をぐっと際立たせます。そこに「甘えさせてあげる」役回りで紬くんが立ち回る展開は、王道ながら胸に響く。

面白いのは、単なる看病シーンに留まらず、紬くんが手芸の才能を活かして「コスプレ＋おしゃぶり」というユニークな“甘やかし方”を用意するところ。突拍子もないけど、会長が本当に必要としていた“安心して甘えられる環境”にドンピシャで、二人の関係性の深さがよく出ている。真面目な会長を緩めるアイディアとしてもセンス抜群。

全体を通して、**「強い人ほど弱さを見せられる相手を求めている」**というテーマがしっかり描かれていて、癒しとエロスが自然に混ざり合う仕上がり。コスプレやおしゃぶりといった小道具が単なるフェチ要素じゃなく、キャラの心情にリンクしている点が作品の良さでした。