






- 発売日 : 2025-10-05
- 収録 : 24ページ
- シリーズ : これで最後になるなら
- 作者 : 馬胃
- ジャンル : 単話 人妻・主婦 巨乳 淫乱・ハード系
- 出版社 : コアマガジン(雑誌)
- 品番 : s011akamj02639
親類の集まりで私の両親と叔父が言い争っていた。多分だけど叔父は今日を最後に私の前に姿を見せないだろう。私は叔父が好き。子供の頃からそれは変わらない。だから今日、私は叔父と二人きりになったタイミングで抱いて欲しいとお願いした。そして叔父と私は……。
FANZA
『これで最後になるなら』(馬胃)は、湿った夏の気配から物語を立ち上げる“別れの前夜”の短編だ。親類の集まりという生活感のある場面を入口に、主人公が「今日で終わるかもしれない」と直感する瞬間までを丁寧に積み上げ、そこから二人きりの時間へと静かに舵を切る。語りは過剰にならず、視線や手つきの変化で心の揺れを見せるタイプ。読者に考えさせる余白を残しつつ、ページをめくるほど温度が上がっていく。
線はシャープだが角が立ちすぎず、汗の粒や濡れた髪の束感、肌の反射で柔らかさを出す。グレーの階調管理が巧みで、襖の影、畳の網目、水気のきらめきまで“蒸す夜”の質感に統一されているのが気持ちいい。コマ運びは「視線を合わせる→外す→もう一度重ねる」という反復がリズムの核で、長めの縦コマで体の向きを切り返し、端に余白を残して呼吸を作る設計も冴える。回想を細かいカットで差し込み、幼い日の約束と現在の距離感をつなぐ編集も滑らかだ。
デザイン面では、効果音や小さな飾り文字のサイズと配置が視線誘導のガイドとして機能している。気になる「極端に大きな縦文字」は扉絵(1枚目)限定で、右端に入る縦組みタイトル「これで最後になるなら」と、同ページでヒロインの身体の上を斜めに走る飾り文字群の2点。この場面だけ画面密度が高く見えるので、トーンを一段抜く、文字のフチを細くする、あるいは字間をわずかに広げると圧迫感が和らぎ、読みやすさがもう一段上がりそうだ。本文ページの効果音は中サイズで、全体のバランスは良好。
テーマは、近しい関係ゆえの依存とそこから踏み出す“選択”。作品は具体描写を煽らず、手のアップ、指先のためらい、吐息の描写といった画面の情報で感情の温度差を語らせる。短編ならではの集中力で、始点から決着までを一気に描き切り、最後に静かな余韻をきっちり残す仕上がり。湿度、体温、間(ま)——この三つを丁寧に積んだ、夏の一夜をめぐる佳作だ。
※本作はhitomi、manga raw、なんJでは配信しておりません。
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